事件の概要
警視庁と大阪府警は2020年11月16日、外国人女性を不正な在留資格で入国させ、都内および大阪市内の性風俗店で就労させていたとして、ブローカーら8人を入管法違反(不法就労助長)および売春防止法違反などの疑いで逮捕した。
逮捕されたのは、来日手続きを取り仕切っていた日本人ブローカー(男性・51)を中心に、外国人女性の受け入れを行っていた風俗店経営者ら計8人。
被害者の実態
被害者とされる外国人女性は計12人で、いずれも東南アジアまたは東アジア出身。「日本で高収入の仕事がある」という言葉を信じて来日したところ、入国直後に旅券を取り上げられ、借金を作らされて性風俗店での就労を強いられたという。
被害者の1人は「旅券がなければ帰国もできない。逃げたら借金を返せないと言われた」と述べており、典型的な「デットトラップ」型人身売買の手口が使われていた。
法的問題の複雑さ
この種の事件では、被害者自身も不法就労者として入管法違反に問われうるという複雑な問題がある。専門家は「被害者が摘発を恐れて被害を申告しないケースが多く、実態の把握を困難にしている」と指摘する。
2019年の改正入管法施行後、外国人労働者の受け入れ拡大が進む一方で、悪質ブローカーによる搾取の温床にもなりうるという懸念が高まっている。
対策と課題
今回の摘発は、外務省・入管当局・警察が連携した「多機関連携捜査」の成果だ。国境をまたぐ人身売買への対処には、こうした機関連携が不可欠とされる。
被害者支援の面では、NPO・NGOが保護シェルターの提供や帰国支援を行っているが、被害者が摘発を恐れて支援を拒否するケースも多く、「被害者中心のアプローチ」への転換が求められている。
本記事は公開情報および捜査関係者への取材をもとに構成しています。