緊急事態宣言と風俗業界への影響
2020年4月7日、安倍首相(当時)が新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を7都府県に発令した。これを受け、東京都は翌8日から性風俗店を含む幅広い業種に休業要請を発出。違反した場合の罰則はないものの、社会的圧力を背景に多くの店舗が閉店または規模縮小を余儀なくされた。
補償対象からの除外問題
問題となったのが協力金の支給対象だ。東京都は休業要請に応じた中小企業・個人事業主に対し、50万〜100万円の感染拡大防止協力金を支給すると発表したが、性風俗関連特殊営業(風俗営業法第2条第6項〜13項)は明示的に対象外とされた。
都の担当者は「公序良俗上の観点から支給対象に含めることは適切でない」と説明したが、業界団体は「休業要請に応じながら補償がないのは法の下の平等に反する」と強く反発した。
業界の実態と経営者の声
ある風俗店経営者は取材に対し、「従業員を守りたいから休業したが、家賃も固定費も出ていく。補助金も融資も使えないなら廃業するしかない」と訴えた。キャストとして働く女性たちも、収入が突然ゼロになることで生活困窮に陥るケースが相次いだ。
性風俗産業の従事者を支援するNPO団体も「セーフティネットの網からこぼれ落ちている人々がいる。性風俗従事者だからといって支援を拒否すべきではない」と声明を発表した。
法的・憲法的論点
法律家の間では、補償なき休業要請の合憲性をめぐる議論も起きた。休業要請に「応じない自由」が認められているはずなのに、事実上の強制力があり、かつ補償がないという状況は「財産権の侵害に近い」との指摘もあった。
また、性風俗業のみを補償対象から外す根拠についても、「合理的な理由があるか」という点で法学者から疑問の声が相次いだ。
今後の展開
緊急事態宣言は5月末まで延長される見込みで、業界への打撃はさらに長期化する可能性がある。行政と業界団体の間での協議が求められているが、具体的な解決策は見えていない状況だ。
本記事は公開情報および業界関係者への取材をもとに構成しています。