「おぼつかなさの融合」という、他では見ない売り文句
ルピナス のキャッチコピーは、こうだ。
~新感覚のロマンス~最高級美女と「おぼつかなさ」の融合!
風俗の広告文を20年見てきて、「おぼつかない」を褒め言葉として前面に出した店は、そう多くない。普通、高級店が売るのは逆側だ。技術、所作、間の取り方、痒いところに手が届く配慮。金額が上がるほど、店は「うちは上手い」と言いたがる。
ルピナスはそこを反転させている。店舗紹介では「最高級の恋人系をコンセプトとしたお店」「厳選された清楚で最高のコンパニオンが数多く在籍」「吉原屈指の豪華なおもてなしで、お客様をお迎えするラグジュアリーな超高級ソープランド」と、高級店の定型句をひととおり並べる。にもかかわらず、客を釣る一行に選んだのは「おぼつかなさ」だった。
この言葉は事故ではない。風俗じゃぱんの店舗情報でこの店に付いているジャンルタグは「お姉さん・キレイ系/素人・未経験/巨乳・爆乳」。真ん中に「素人・未経験」が入っている。求人まわりでは自らを「吉原初の素人『専門』高級店」「元祖素人高級店」と名乗っている。つまり店は一貫して、上手さではなく慣れていなさを商品名にしている。
高級店で不慣れを売る、というのは、言うだけなら簡単だが商売としてはかなり不利な選択だ。理由は単純で、不慣れは在庫にならないからである。技術は磨けば増えるが、未経験は一度きりで消える。その矛盾をこの店がどう処理しているのかが、今回の検証の中心になった。
公開されている数字は、たった一行しかない
先に金の話を片付けておく。ルピナスの公式サイトの「料金アクセス」ページには、驚くほど何も書かれていない。掲載されているのは、実質この四行だけだ。
営業時間 9:00〜24:00 入浴料 120分 ¥30,000 ご予約受付に関して 当日8:00より/会員様はご予定日の1週間前からのご予約可能です アクセス 東京都台東区千束4丁目41−14
コース表がない。60分も90分もない。オプションの一覧もない。指名料がいくらか、写真指名と本指名で差があるのか、新規割引があるのか——一切書かれていない。風俗じゃぱん側の掲載も「最安値料金:入浴料 120分 30,000円〜」で、公式と同じ一行に「〜」が付いただけである。
ここは誤解のないように書いておく。ソープランドで言う「入浴料」は、店に支払う入浴施設の利用料であって、遊び代の総額ではない。総額は入浴料に「サービス料」を足したもので、後者は入室後に別途支払う形を取るのが吉原の一般的な建て付けだ。ルピナスが公開しているのは前者だけで、後者の金額はどこにも出ていない。
だから俺は、この記事で総額を書かない。書けば嘘になる。ネット上には推測混じりの金額がいくつも出回っているが、店が出していない数字を体験記の顔で断定するのは、それこそ客を騙す行為だ。ここは電話で聞く以外にない。予約時に「入浴料込みで、当日いくら用意すればいいですか」と一言確認する。それだけで済む。
ついでに支払いまわりも整理しておく。クレジットカードは利用可で、公式サイトにはVISA・Mastercard・JCB・AMEX・Diners Clubのロゴが並び、「クレジットカード決済の流れ」として「認証コードの確認が必要になる場合があります」と明記されている。3Dセキュアの認証が挟まる可能性がある、という予告だ。スマホに認証が飛ぶことを知らずに行くと店頭で止まるので、カード払い前提なら端末は持っていったほうがいい。一方で領収書は発行不可。経費で落とす種類の店ではない、というだけの話だが、じゃぱんの掲載欄にはっきり書いてある。
求人ページのほうが、客向けページより正直だった
客向けの説明が薄い店は、たいてい求人側に本音が出ている。ルピナスもそうだった。
風俗じゃぱんに載っている女の子求人の文面には、こうある。
当店は高級店ではなかなかない、風俗経験の全くない女の子でも安心な、講習の必要な難しい等もなく、かなりソフトで衛生的なサービス内容で、素人さんが来られてもスムーズに安心してお仕事ができるシステムに作られています。
さらに求人ブログのほうには、もっと直接的な一文が並んでいた。
当店は吉原初の素人『専門』高級店・技術は求めない
「技術は求めない」。客に向かって「おぼつかなさの融合」と言っている店が、働き手に向かっては「技術は求めない」と言っている。この二つは同じ一つの設計を、両側から言っただけだ。
高級ソープの技術というのは、具体的にはマットやスケベ椅子まわりの手順のことを指す。同じ求人ブログは、一般的な高級店を「肌荒れするマット、危ないくぐり椅子」と表現したうえで、うちはそれを求めない、と続けている。習得に時間がかかり、身体的な負担も大きい工程を課さない。だから未経験でも初日から立てる。だから講習がない。
客の側から見れば、この設計には明確な向き不向きがある。マット技術や吉原らしい様式美を金を払って堪能したい人には、この店は向かない。店自身がそこを売らないと宣言しているのだから、行けば必ず不満が出る。逆に、慣れていない相手との距離が縮まっていく時間そのものに金を払える人にとっては、これ以上ないほど狙いが合っている。
不誠実な店というのは、この両方を同時に約束する店のことだ。ルピナスは片方を捨てている。捨て方が明確なぶん、俺はこの店の看板を信用した。
新人入店日リストが示す、補充の速度
さて、本題である。「素人専門」を名乗った店は、素人が減り続けるという構造的な問題を抱える。入店から一週間もすれば、その子はもう未経験ではない。看板を維持したければ、補充し続けるしかない。
ルピナスの公式サイトには「新人紹介」ページがあり、そこに在籍者の入店日が日付で公開されている。俺が確認した時点で並んでいたのは、こういう並びだった。
- 7/31(当日デビュー)/7/30/7/26/7/22/7/22/7/20/7/11/7/7/7/5/7/2
- そこから遡って 6/20/6/4/6/2
7月の1か月で、10人。3日に1人のペースで新しい子が入っている計算になる。年齢はほぼ20〜22歳に固まっていて、俺が見たリストは20歳が1名、21歳が7名、22歳が5名だった。風俗じゃぱん側の女の子一覧は138人。この規模の箱に、月10人を流し込み続けているということだ。
この数字は、たぶん多くの人が思うより重い。月10人ということは、単純計算で年120人が入店する。定着せずに抜ける人数を差し引いても、在籍名簿はかなりの速度で入れ替わり続けているはずだ。「元祖素人超高級店」という看板は、この採用ラインが回っている限りにおいてのみ本当のことになる。逆に言えば、この店の本当の商品力は接客技術でも設備でもなく、募集して面接して初日に立たせるまでの、店側の回転能力にある。
もうひとつ、リストを見ていて目に付いたことがある。入店日が新しい子ほど「ご予約満了」の表示が付いている率が高い。7/30入店の子はもう満了、7/20入店の子も満了。需要が新人枠に集中しているのが可視化されている。素人を売る店では、当然そうなる。
予約設計:当日8時解禁と、会員だけの1週間前
需要が新人に集中する店では、予約ルールがそのまま優先順位のルールになる。ルピナスの規定は、さっき引いた四行のうちの一行だ。
当日8:00より/会員様はご予定日の1週間前からのご予約可能です
読み解くと、こうなる。営業開始は9時、予約受付の解禁は8時。つまり一般客の枠は、開店1時間前に一斉スタートで奪い合う設計になっている。話題の新人が出る日の朝8時は、それなりの競争になっているはずだ。
対して会員は1週間前から取れる。一週間の先行権というのは、この手の店では相当に大きい。デビュー日が事前告知される店で、一般解禁が当日朝なら、目玉の枠は事実上会員側で埋まりきる。この店で狙いの子を確実に取りたいなら、会員になるかどうかがほぼ全て、というのが構造から出てくる結論だ。
これは意地悪な設計ではない。一週間前予約を全員に開放すれば、無責任な押さえとドタキャンで枠が腐る。会員という「連絡が取れる客」に限って先行させるのは、120分という長い枠を9時から24時まで15時間回す店としては、むしろ堅実な線の引き方に見える。ただし、ふらっと思い立って行く遊び方とは相性が悪い。この店は、計画して行く店だ。
千束4-41-14という座標と、送迎が正面玄関である理由
所在地は東京都台東区千束4丁目41-14。吉原の中である。
吉原で遊ぶ人間が最初にぶつかる事実は、この街に駅がないことだ。ルピナスのアクセス表記は「日比谷線三ノ輪駅から車で6分」。そして送迎については、じゃぱんの店舗情報にこう書かれている。
JR「上野駅」「日暮里駅」「南千住駅」、日比谷線「三ノ輪駅」、東武浅草線「浅草駅」、銀座線「田原町駅」より送迎致します。
六つの駅を挙げている。吉原の店の送迎は三ノ輪一駅に絞るところが多いなかで、上野・日暮里・南千住・三ノ輪・浅草・田原町まで拾うのは広い部類だ。上野や浅草から拾えるということは、遠方から新幹線や在来線で来る客、あるいは浅草で観光してから流れてくる客を、そのまま車に載せられるということでもある。
送迎範囲の広さは、店の集客がどこを向いているかの地図でもある。三ノ輪一本に絞る店は、吉原に慣れた常連を効率よく回している。六駅から拾う店は、吉原に不慣れな客を取りに行っている。「素人専門」を掲げる店が、客側の導線でも初めての人を拾いに行っているのは、筋として一貫している。
なお、公式トップには「皆様のたくさんのご来店にあずかり 店舗拡大致しました」という一文が出ていて、姉妹店として同じ吉原の高級ソープ「ルピナスパルフェ」がある。男性求人の文面では「現在2店舗」「新規店舗も予定もあります」と書かれていた。拡大局面にあるグループだ、という自己申告である。月10人の入店ペースと、この拡大方針は同じ方向を向いている。
この店が向いている人、向いていない人
整理する。
向いているのは、慣れていない相手と、慣れていく過程に金を払える人だ。120分という長めの枠は、この遊び方と相性がいい。60分では緊張がほぐれる前に終わるが、120分あれば空気が変わるところまで行ける。店が枠を120分一本に絞っているのは、たぶんそういうことだ。短い枠を作れば売れるが、短い枠で未経験を出せば事故になる。作らないという判断は、商品設計として正しい。
向いていないのは、技術と様式を買いに行く人だ。吉原の高級店で完成された手順を堪能したいなら、そういう店は他にいくらでもある。ルピナスは自分から「技術は求めない」と言っている店で、そこを期待して行くのは店ではなく客の読み違いになる。
もう一つ。総額を電話で確認せずに行く人にも向いていない。公開されているのは入浴料の一行だけで、これは総額ではない。ここを確認するかしないかで、当日の体験は全く別物になる。
まとめ
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 「素人・未経験専門」という看板の実効性 | ★★★★★ |
| 新人入店日を公開する情報開示の姿勢 | ★★★★★ |
| 料金情報の透明性(入浴料のみ公開) | ★★☆☆☆ |
| 120分一本という枠設計の納得感 | ★★★★☆ |
| 予約の取りやすさ(一般客/当日8時解禁) | ★★★☆☆ |
| 送迎6駅というアクセスの現実性 | ★★★★★ |
| 「おぼつかなさ」を求める人にとっての総合満足度 | ★★★★☆ |
「おぼつかなさの融合」という奇妙なキャッチから入ったが、掘ってみれば、この店は看板と中身が驚くほど揃っていた。客に「不慣れを売る」と言い、働き手に「技術は求めない」と言い、講習を課さず、その代わりに3日に1人のペースで新しい人を入れ続けている。新人ページに入店日を日付で出しているのは、その補充ラインが実際に回っているからこそできる開示だ。
減点は料金表記の一点に尽きる。公式が出しているのは「入浴料 120分 ¥30,000」だけで、総額はどこにも書かれていない。この価格帯では珍しくない慣習だとしても、初めて行く客——まさにこの店が送迎6駅まで広げて取りに行っている層——にとっては最も不親切な部分だ。予約の電話で総額を確認する。その一往復さえ惜しまなければ、吉原で「上手さ」ではないものを買いたい人にとって、看板に嘘のない選択肢である。